働きながらUoPeopleのMBAを取った話

こちらは 【増枠】社会人学生 Advent Calendar 2020 25 日目の記事です。メリークリスマス!

UoPeople

まず具体的なタイムラインを紹介しますと、2018 年春の Term 4 から授業を取り始め、今年の Term 3 にて最後の Capstone を修了し、3 月 31 日に卒業申請を出してから 2 ヶ月強を待ち、6 月 8 日に学位記が届き、晴れて Alum と名乗れるようになりました。

UoPeople とは

UoPeople は University of the People の略称でアメリカの非営利オンライン大学です。ググれば Wikipedia の記事や内容を紹介するブログが一杯出てくるので、説明は割愛させて頂きます。ただ、入学記が多いものの、卒業後の感想を述べる記事はあんまり見当たらなかったので、自分の振り返りを兼ねて軽く綴りたいと思います。

なぜ UoPeople の MBA を取ろうと考えたか

転職して今の会社に入社した後、ビジネス・企画側とコミュニケーションをする機会が増え、技術畑を歩んできた私が自分の知識不足を実感していました。そしてピンポイントで埋められる感覚じゃなかったので、体系的に学べる MBA プログラムの方が良さそうと感じました。
リアル通学も考えていましたが、会社は相対的に寛容な方だとはいえ、業務時間内で大学に通わせる制度がありませんでした。それに対し、Coursera や AI-Class(Udacity の前身)で MOOC 形式の授業をうけることが普通にありましたので、オンライン通学にあんまり違和感を感じませんでした。更に言うと、会社の中では英語が相対的に得意な方ですので、無駄にしたくなかった気持ちもありました。
当時、オンライン MBA の選択肢がそんなにありませんでした。自分が色々調べた結果、選択肢として上がって来たのはUIUC の iMBA プログラムと UoPeople の MBA のみでした。
大学の知名度及びコースの質的には、当時まだ無名に近い UoPeople が新しく出したプログラムより、UIUC のプログラム(iMBA プログラム自体は新しいけれど)の方が圧倒的に強かったと思います。
一方で、安い方だと言われた学費(2 万ドル)は当時の私にとってやはり高いと感じました。そして、mortar-and-brick 的な大学の MBA を取る方々は基本的にソーシャルコネクションを重要視している方だと思い、オンライン環境だとそれが厳しい上、あくまで授業の内容だけ気にしている私にとって、UoPeople の方がコスパがいいかと考えました。

授業をとってみた感想

一言で感想を述べますと、思ったより遥かに大変だったと言わざるを得ません。前述した通り、それまでも何回かオンラインで授業を受けていたので、あんまり変わらないイメージでコースを始めましたが、いきなり多量な Material を読まされ、「読んだ資料を踏まえ、Essay 二本を書いて水曜日まで提出してね」みたいな感覚でした。今振り返ってみたら、初週の宿題は楽勝な方だと言ってもいいですが、当時は「無理や、やめよう」と考えていたくらいでした。
その為、基本的には毎週の週末が潰される感覚で二年間を送ってきました。もちろん、Term と Term の間に 2 週間ほど(場合によって 3 週間もあり得る)空きが出るので、そこは一息を入れるチャンスでした。とはいえ、後述しますが、その時間も無駄にしてはいけないと考えています。なので、理解して下さって、この 2 年間支えてくださった家族と同僚に感謝の気持ちで一杯です。
語学力の問題だと考える方もいらっしゃると思います。もちろん英語力が高ければ読み書きのスピードがある程度上がるはずです。とはいえ、英語力が高くても時間がかかると私が思います。普通に Assignment が多いからです笑。MBA の授業を取ってる方の半数以上(今海外での知名度も上がってきているので比率が下がっているかもしれませんが)はアメリカ人です。Yammer(学生同士のコミュニケーションツール)で検索すればわかりますが、思ったより大変だとの投稿がちらほらあります。
かといって、慣れればなんとかなります。自分は 5 つ目の授業までは毎 Term 1 コースしか取っていませんでしたが、5 つ目のところから若干力の余裕を感じ始めました。最初から二年間で修了すると決めていたから、授業を同時に 2 つ取ってみようとチャンレンジしました。同様に初期は全然慣れなくて、宿題を書くために有給をガッツリ使う羽目になってましたが、最終的に有給を取らなくてもやり過ごせるようになっていました。運動と同じく、トレーニングが必要だったと考えています。

コースの内容について

当初の期待を裏切ることなく、有益な二年間だと私が評価しています。
NYU Stern の教授が作成に関わったからか、コース全体の設計が合理的だったと思います。財務・マーケティング・組織論・ビジネス戦略など、知識を全面的に学び、段階的に進むことができ、知らなかった知識をたくさん身に付けることができました。使っているケーススタディは基本的に Harvard Business Review や定番教科書から取ってきた代表的なやつでオフラインの MBA で学習する内容と大体一緒じゃないかと考えます。逆に、オンラインである故に、アメリカの話はもちろん、ヨーロッパや東南アジア・アフリカのことを他の生徒の Essay から知ることができ、視野を広げるいいきっかけだったと感じます。
もちろん、コミュニケーションが取りにくいなどオンライン授業としてのデメリットが諸に出ていましたし、宿題の Peer Review を含む授業システムに賛否両論なところもありました。特に入学が簡単だったから、最初の授業で適当に宿題を書いて提出する学生がそれなりにいました。ただ、後半になればなるほど、Discussion と Written Assignment の質が高くなる傾向でした。乱暴に単語数で例をあげますが、最初の授業の Discussion 投稿はせいぜい 200~500 単語くらいでしたが、最後の授業では 1000 単語を下回る投稿が見当たらなく、逆に 2000 以上が散見されていました。
その他、Instructor と Program Advisor が無責任で生徒が放置されているとの意見も見たことありますが、自分は出会ったことがなく、指摘と質問をそのたびに適切に対処してくれていました。

自分に役に立った Tips

Drop を活用する

UoPeople の学生は毎 Term 最大で 3 授業をとることができます(Degree Seeking Student になる前もしくは GPA が足りない時は 1 か 2 になります)。自分は毎回最大限までとっていました。もちろん 1 Term で 3 つのコースを学習する余裕がなかったし、やったこともありませんでした。しかし、第一週目で Learning Guide を読み、学生リストを見ればその授業の雰囲気を推測することができます。そこで自分の仕事状況等に合わせて今 Term 取りたいコースを決めて他のコースを Drop することは私の常套手段でした。コース申込時得られる情報と比べ、第一週目で得られる情報量が圧倒的に多いので、判断を毎 Term の始まりに先延ばした方が良いと思います。しかも第一週目の時 Drop する場合、何の記録も残ることなく、費用もかからないので損することが一切ないと思います。

資料をちゃんと残す

前述した通り私は Learning Guide を読んでから授業を落としたりしました。その場合、読んだ Learning Guide を一旦保存していました。MBA プログラムのコースの選択範囲がそんなに広くなく、「今 Term は取りたくないものの、いずれ取らなければいけない」ケースがよくありました。その場合、Term と Term の間になったら、Learning Guide を読んで予習することができます。さらに余裕があれば、宿題を書き始めることもできます。そうすれば、Term に入ってからのワークロードが減るので、ストレスなくコースをうけることができます。
また、Learning Guide のみならず、自分が提出した Assignment(Written だけじゃなく Discussion や Group Work も)を全部保存すべきかと思います。それらは後続のコース、特に BUS 5117(Strategic Decision Making and Management)と BUS 5910(Management Capstone)の授業で再び閲覧したくなるかもしれません(自分はしました)。

コミュニティを使って孤独感を解消し、ノウハウを得る

やはりオンライン通学は孤独な旅に例えられます。私は家族と上司の理解を得られて(ありがたいことにMBA 申請用の推薦状も当時の上司に書いて頂きました)、相対的に良い方だと思いますが、それでもしばしば辛く感じていました。人間は社会的動物なので、周りと違う行動を継続的に行うと、違和感を感じたり孤独を感じたりすることは当たり前だと私が思います。その場合、Yammer で投稿を読んだりコミュニケーションを取ることで、自分と同じ道を歩んでいる方と交流でき、その孤独感がかなり解消できます。
その上、Yammer や Reddit の投稿から知らなかった情報を入手することもできます。例えば、MBA の学生は Degree Seeking Student になった後、GPA が一度リセットされる情報は Yammer の投稿から初めて知りました。そういう情報を入手することで、もっとスムーズに計画を行うことができると思います。

Term の Gap を視野に入れる

Term の Gap を指しているのは、何の授業も取らない Term を挟むことです。今のルールが変わったかわかりませんが、 Term を 3 つまで Gap しても休学扱いにならないルールだったと思います。仕事の激務もあって、自分は一時期あんまりにもしんどくて、宿題をやるたびに吐きそうな感覚だったので、その次の Term を Gap することを決意しました。決断に当たって結構迷いがあって、進捗がさらに遅れる罪悪感と「このままやめてしまうんじゃないか」との心配がありました。でも結果的に元気になってまた気持ちよく学べるようになりました。なので、本当に辛くなったら、無理せず Gap したり、コースを Withdraw したりして、一休みを設けた方が効率的かもしれません。UoPeople のカレンダーに Term が 5 つもあるので、1 Term が空いてもそこまで問題にならないと思います。

さいごに

2020 年 12 月現在、UoPeople はまだ National Accreditation の大学(Regional Accreditation 申請中)で知名度と評判も発展途上です。とはいえ、周囲の環境に左右されず、自ら目標を定め、純粋に知識を学習したい方にとっては有効な選択肢じゃないかと私が思います。まとまってない文章ですが、今後 UoPeople に通いたい方、今通っている方の参考になれれば幸いです。